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技能実習制度とは?技能実習生を雇用する際の企業の注意点

技能実習制度とは

外国人技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として1993年に創設された制度です。

2017年11月、「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。

技能実習制度の目的・趣旨

技能実習制度の目的・趣旨は、我が国で培われた技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与するという、国際協力の推進です。

制度の目的・趣旨は1993年に技能実習制度が創設されて以来終始一貫している考え方であり、技能実習法には、基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。

受入れ人数の現状

日本で就労する外国人の総数は172.71万人で、そのうち、そのうち技能実習生は35.2万人です。(出典: 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(令和3年10月末現在)」)

平成22年度に入管法が改正されてから、入国1年目でも技能実習生は在留資格を得ることができるようになり急激に人数が増えました。令和3年には35.4万人と前年に比べて6%ほど減少しましたが、これは新型コロナの影響で渡航が出来ない状態が2年続いたことが大きな要因です。

特定技能制度との違い

技能実習制度と特的技能制度の大きな違いは、「制度の目的・趣旨」です。技能実習制度は、技能の移転による国際貢献を目的・趣旨としているのに対して、特定技能制度は国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。

このほかにも、「就業可能な作業内容や分野」、「受け入れ人数の制限」、「転職の可否」などに違いがあります。「技能実習」の場合には「監理団体」「技能実習機構」「送出機関」など、企業と実習生の間に入る関係者が多く存在しますが、「特定技能」の場合には原則、企業と外国人のみであることも大きな違いです。

在留資格「技能実習」について

外国人が日本に滞在するために必要な資格(許可)を「在留資格」と呼びますが、在留資格「技能実習」は外国人が技能実習制度を利用し「技能実習生」として日本に滞在するための在留資格です。

在留資格「技能実習」の種類

在留資格の1つである「技能実習」は、段階ごとに1号(1年目)、2号(2〜3年目)、3号(4〜5年目)に分類されます。 更に受け入れ方法によって、企業単独型受け入れと団体監理型受け入れの2つのカテゴリーに分けられます。

技能実習1号とは

「技能実習1号」とは技能実習を目的とする外国人に、入国初年度に付与される在留資格で、技能の講習・実習を行うための資格です。

技能実習2号とは

「技能実習2号」とは、「技能実習1号」での在留期間に得たノウハウや技術をさらに習熟させるために与えられる在留資格です。技能実習2号への移行要件として、以下のものが挙げられます。

  • 技能実習1号と同一の機関で実習が行われている
  • 技能検定等(基礎級等)の学科試験及び実技試験に合格している
  • 技能実習が終了した後に本国へ帰国できることが担保されている
  • 帰国後に日本の技能実習で学んだ技能を活かせる職種に就くことが予定されている
  • 技能実習2号に移行可能な職種である

技能実習3号とは

「技能実習3号」とは、技能実習4~5年目の在留資格です。技能実習3号への移行要件として、以下のものが挙げられます。

  • 実習生は2号終了後に母国へ1ヶ月以上一時帰国すること(その後、日本へ戻ってきてから3号の実習がスタートします。)
  • 所定の技能評価試験(技能検定3級相当)の実技試験に合格していること
  • 移行対象職種が省令で認められた77職種・135作業であること(2021年3月16日時点)
  • 監理団体及び実習実施者は、一定の条件を満たし優良であることが認められた者であること

対象となる業種・職種

2022年4月時点で85職種158作業があります。年々追加されており、最近では外国人のインバウンド需要に対応するために「宿泊」が増えました。「そう菜製造」、「介護」「自動車整備」も比較的新しい職種です。

出典:厚生労働省「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧

技能実習生の受入れ方法

受け入れる方式には、企業単独型と団体監理型の2つのタイプがあります。

2021年末では企業単独型の受入れが1.4%、団体監理型の受入れが98.6%(技能実習での在留者数ベース)となっています。

企業単独型

日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式です。海外支店の従業員を日本本店に転勤させるような場合で、送出機関と監理団体を介す必要はありません。

団体監理型

事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方式です。海外につてを持たない中小企業が技能実習生を受け入れたい場合のために、団体監理型が存在します。

団体監理型では、送出機関と監理団体が介在し、海外の送出機関が企業の希望する希望職種・人数の技能実習生を募集、選考、決定します。

技能実習生を雇用する企業が注意すべきこと

企業は、受け入れようとする技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、技能実習機構から認定を受ける必要があります。また、技能実習生の待遇や受け入れられる人数などの基準に適合すること、労働法令、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法の順守も必須です。

①制度内容の十分な理解

在留資格「技能実習」が認められるためには、上記の認定を受けた「技能実習計画」に基づく活動を行う必要があります。技能実習の目標や職種・作業などに変更がある場合は、計画の変更申請を行い、認定を受けなければなりません。認定計画に従って技能実習を行わせていない場合は、「技能実習」の在留資格が取り消しの対象となります。

また、技能実習生を受け入れている企業は、受け入れ後、技能実習法で定められた報告及び届出の手続きを、定められた様式に従って行わなければなりません。

このように、技能実習ならではの手続きや決まりがありますので、技能実習生を雇用する企業はそれを正確に理解しておくことが重要です。

②実施可能な業種・職種の把握

技能実習生に行わせたい仕事の内容が、上記で示した「移行対象職種」に該当する職種かどうか確認する必要があります。

技能実習1号の受け入れは、同一作業の反復のみによって修得できるものでなければ、職種の制限はありませんが、技能実習2号及び3号に移行できる職種・作業は技能実習法施行規則にて定められています。2年目以降も自社で雇用する予定があるのなら、その職種・作業をあらかじめ確認し把握しておく必要があります。

③特定技能を見据えた人員計画

かつては、技能実習生は実習期間が終了すると帰国しなければなりませんでしたが、現在では在留資格「特定技能」に移行することで、日本で働き続けることが可能です。

技能実習生が技能実習2号を良好に修了しており、技能実習の職種・作業内容と特定技能1号の業務に関連性が認められる場合は、特定技能1号に移行できる可能性があります。特定技能1号は最大5年、特定技能2号は更新する限り上限なく在留できます。技能実習生はいずれ母国に帰ってしまうという考え方ではなく、将来も企業の戦力となって働いてくれるかもしてない人材として考えて、企業としての人員計画を立てていくことが大切です。

④労働関係法令の遵守

外国人技能実習生は実習実施機関と雇用契約を締結するので、労基法等労働関係法は適用されます。(ただし、団体監理型の技能実習生が入国当初に受ける座学による講習期間中は、雇用されて働いているという実態にないため、適用されません。)

認定された技能実習計画に反して「残業」を行わせる、割増賃金を支払わないなど、労働関係法令の違反がある場合は、指導や認定取消等の対象となる場合があります。

外国人材の採用は広島の江口労働法務事務所にご相談ください

技能実習生を受け入れる企業の9割以上は、「団体監理型」です。その場合、「監理団体」技能実習制度における活動の監督・取締り及び受け入れ企業へのサポート等を行うため、自社でやるべきことが見えにくいのが現状です。

しかし、技能実習生にしっかりと技術を学んでもらい、安心して日本で生活してもらうには、企業の雇用管理がとても大切です。労働関係法令の適用など、日本人労働者と同じ部分もありますし、基本的に技能実習計画に沿った作業しか行えない等日本人労働者と違う部分もあります。

江口労働法務事務所は、外国人業務に特化した江口行政書士事務所も併設した、外国人材の労務管理に強みがある事務所です。外国人雇用をお考えの企業様、すでに外国人を雇用しており労務管理のサポートをご希望の企業様はぜひご連絡ください。

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