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【労働保険(労災保険・雇用保険)の基礎知識】適用・加入手続き・保険関係成立届

労働保険(労災保険・雇用保険)の適用事業所

労働保険とは、労災保険と雇用保険の総称です。

労災保険と雇用保険、それぞれの適用事業について確認しましょう。

<労災保険の適用事業>

基本的に、労働者を1人以上使用する事業は、事業主や労働者の意思にかかわらず、当然に労働者災害補償保険法(労災保険)の適用事業となります。ただし、事業主の意思や過半数の労働者の希望により、厚生労働大臣の許可を得て適用事業所になる暫定任意適用事業所もあります。

※暫定任意適用事業所

  1. 労働者が常時5人未満の個人経営の農業・畜産・養蚕の事業
  2. 労働者を常時使用しない(年間延べ300人未満)の個人経営の林業
  3. 使用労働者が常時5人未満の個人経営の事業で総トン数5トン未満の漁船の事業及び特定水面で操業する総トン数30トン未満の漁船

<雇用保険の適用事業>

事業の種類や規模を問わず、被保険者となる労働者を1人でも雇用する事業は、事業主や労働者の意思にかかわらず当然に雇用保険法(雇用保険)上の適用事業となります。ただし、労働者の2分の1以上の同意を得たうえで厚生労働大臣の許可を受けて適用事業所となる暫定任意適用事業所もあります。2分の1以上の労働者が適用を希望した場合は、事業主に加入義務が生じます。

※暫定任意適用事業

使用労働者が常時5人未満の個人経営の農業、林業、畜産業、水産業、養蚕業

<適用事業の分類>

適用事業は、「継続事業」と「有期事業」、「一元適用事業」と「二元適用事業」に区分されます。

<継続事業とは>

継続事業とは、事業の終了が予定されておらず、事業を廃止しない限り将来にわたり継続する事業をいいます。労働保険の保険関係も、事業が廃止されない限り将来にわたり継続します。継続事業の保険関係は、会社や法人単位ではなく、本社、支店、営業所、工場などを一つの事業所とみなしてそれぞれに成立させます。

<有期事業とは>

有期事業とは、ビルや橋の建設のように、事前に事業の開始と終了が予定されている事業をいい、ビルや橋などの完成とともに、事業が終了し、保険関係も事業の開始と終了にあわせて成立・終了します。

<一元適用事業とは>

労災保険と雇用保険を一体として適用する事業を一元適用事業といいます。労働保険番号は両方含めて1つとなり、申告納付する労働保険料も労災保険と雇用保険を一体として都道府県労働局へ申告納付します。

<二元適用事業とは>

労働保険の適用要件や保険料の算定方法が異なるため、労災保険と雇用保険を別々に適用する事業をいいます。保険関係の成立もそれぞれ別々に行うため労働保険番号も別々になり、また、労働保険料の申告納付もそれぞれ別に行います。

二元適用事業をとなるのは、次の事業です。

  • 都道府県・市区町村などが行う事業
  • 港湾労働法の適用を受ける港湾運送業
  • 農林・水産・畜産・養蚕の事業
  • 建設の事業

 

「労働保険 保険関係成立届」

<「労働保険 保険関係成立届」継続事業の場合>

継続事業の労働保険関係は、事業の開始日または労働者を使用した日に当然に成立し、保険関係が成立したときは「保険関係成立届」を提出しなければなりません。

労働保険関係が成立した事業主は、労働保険関係成立日の翌日から10日以内に、「保険関係成立届」と法人登記簿謄本を管轄官庁に提出します。保険関係成立届には、事業の概要に応じた事業の種類を労災保険率表から選んで記載します。異なる複数の事業を行う場合は、主たる事業内容に応じた事業の「事業の種類」を記載します。事業の種類によって、労災保険率と雇用保険率、労働保険料の額が決まります。

一元適用の継続事業の保険関係成立届は、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。二元適用の継続事業の保険関係成立届の場合は、労災保険の成立届は所在地管轄の労働基準監督署に、雇用保険の成立届は所在地管轄のハローワークに提出します。

※労働保険の保険関係成立届を提出するときは、同時に「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書」も提出して、概算保険料を申告・納付しなければなりません。

<「労働保険 保険関係成立届」有期事業の場合>

建設業などの有期事業の労災保険は、その事業期間について保険関係が成立するため、事業が成立するたびに「保険関係成立届」を提出することになります。

労働保険関係が成立した事業主は、労働保険関係成立日の翌日から10日以内に、「保険関係成立届」を管轄の労働基準監督署に提出します。

※労働保険の保険関係成立届を提出するときは、同時に「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書」も提出して、概算保険料を申告・納付しなければなりません。

 

雇用保険の適用 「適用事業所設置届」

労災保険と雇用保険の総称を労働保険といい、労働者を使用する事業主は、労働保険の「保険関係成立届」を提出し、保険関係を成立させます。さらに雇用保険を適用するには、「雇用保険適用事業所設置届」を事業所名、所在地、事業概要、法人番号を記入の上、設置の日から10日以内に所轄のハローワークに提出しなければなりません。

「雇用保険適用事業所設置届」提出の際に、雇用する労働者の「被保険者取得届」を提出すれば、事業所の設置と資格取得の手続きが完了します。

「保険関係成立届」・「雇用保険適用事業所設置届」の提出の流れ

<一元適用事業の場合>

順番 書類名 提出先
(1) 保険関係成立届

(保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内)

 

所轄の労働基準監督署

(2) 概算保険料申告書
(保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内)
いずれかに
所轄の労働基準監督署
所轄の都道府県労働局
日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)
(3) 雇用保険適用事業所設置届
(設置の日の翌日から起算して10日以内)
所轄の公共職業安定所
(4) 雇用保険被保険者資格取得届

(資格取得の事実があった日の翌月10日まで)

所轄の公共職業安定所

※1. (1)の手続を行った後又は同時に、(2)の手続を行います。

※2. (1)の手続を行った後に、(3)及び(4)の手続を行います。

<二元適用事業の場合>

二元適用事業では、労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別する必要があるため、保険関係成立届の提出も、概算保険料申告書も各々分けて提出します。

1.労災保険に係る手続き
順番 書類名 提出先
(1) 保険関係成立届
(保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内)
所轄の労働基準監督署
(2) 概算保険料申告書
(保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内)
いずれかに

所轄の労働基準監督署
所轄の都道府県労働局
日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)

※(1)の手続を行った後又は同時に、(2)の手続を行います。

2.雇用保険に係る手続き
順番 書類名 提出先
(1) 保険関係成立届

(保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内)

所轄の公共職業安定所
(2) 概算保険料申告書
(保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内)
いずれかに
所轄の都道府県労働局
日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行・信用金庫の本店又は支店、郵便局)でも可)
(3) 雇用保険適用事業所設置届
(設置の日の翌日から起算して10日以内)
所轄の公共職業安定所
(4) 雇用保険被保険者資格取得届
(資格取得の事実があった日の翌月10日まで)
所轄の公共職業安定所

※(1)の手続を行った後又は同時に、(2)~(4)の手続を行います。

 

労働保険の適用・加入条件・加入手続き・保険関係成立届のまとめ

・労災保険は、労働者を1人でも使用する事業、雇用保険は、被保険者となる労働者を1人でも雇用する事業が適用事業となります。

・適用事業となった場合は、「労働保険 保険関係適用届」を所轄の労働基準監督署に提出します。さらに、雇用保険を適用するには、「雇用保険適用事業所設置届」を所轄のハローワークに提出します。

・適用事業が、有期事業か継続事業か、また一元適用事業か二元適用事業かによって手続きは異なります。

・相談窓口は労働基準監督署、ハローワークですが、ご相談されても手続きや内容が不明な場合や、手続きを外注されたい場合は、労務の専門家である社会保険労務士にご相談ください。

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