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2022年4月より中小企業も義務化!ハラスメントに関する法改正の基礎知識

パワハラ防止関連法改正の概要

2019年の第198回通常国会において「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、これにより「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(以下「労働施策総合推進法」という)が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。このパワハラ防止法において、パワハラに対する事業主の雇用管理上の措置義務が規定されました。大企業は2020年6月から、中小企業においては2022年4月1日から施行となりました。

 

本件にあわせて、その他の法令についても併せて改正しておりますのでご紹介いたします。

女性活躍推進法

女性活躍推進法も併せて改正されました。女性活躍推進法は、企業に「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・届出」および「女性活躍推進に関する情報公表」を義務付けているものです。もともと「常時雇用する労働者が301人以上の事業主」が対象でしたが、同法の改正により、2022年4月1日から「常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主」も義務の対象になりました。また、女性の活躍を推進している企業を厚労省が認定する「えるぼし認定」よりもさらに水準が高い「プラチナえるぼし」制度が創設されました。

 

男女雇用機会均等法

男女協機会均等法も併せても改正されました。セクシュアルハラスメント、妊娠・出産ハラスメントの事業主の防止措置義務は男女雇用機会均等法にて規定されています。今回の法改正により、セクシュアルハラスメントについて事業主に相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止、自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応が加わりました。

 

育児・介護休業法

育児・介護休業法の併せて改正されました。育児休業等ハラスメントの事業主の防止措置義務は、育児・介護休業法にて規定されています。今回の法改正により、育児休業等ハラスメントについて事業主に相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止が加わりました。

 

2022年から対象 中小事業主の範囲とは?

パワハラ防止法によるパワーハラスメント防止義務については、大企業は2020年6月から、中小企業においては2022年4月1日から施行となりました。

中小企業であるかどうかは、おもに資本金や従業員数で区別されていますが、業種によってもその定義は異なります。

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

(日本標準産業分類)

 

職場におけるパワーハラスメントについて

パワーハラスメントの定義

職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる

  1. 優越的な関係を背景とした言動であって
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

であり、1から3までの3つの要素をすべて満たすものをいいます。

上記の言葉の定義について整理して解説いたします。

「職場」とは

労働者が業務を遂行する場所を指す。労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。参加が義務付けられている懇親会や、社員寮、通勤中、出張先、業務で使用する車中も含みます。

 

「労働者」とは

正社員、パート、契約社員、派遣労働者等すべての労働者が対象です。

 

「優越的な関係を背景とした」言動とは

業務を遂行するにあたって、労働者が行為者とされる者に対して抵抗や拒絶することができないような関係を背景として行われるもの。例えば、職務上の地位が上である上司の言動、同僚や部下からの集団による行為でこれに抵抗することが困難であるもの

(行為者は「上司」に限られません。同僚、部下も行為者になり得ます)

 

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは

社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。

 

「就業環境が害される」とは

ハラスメント行為により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業するうえで看過できない程度の支障が生じること

 

パワーハラスメント6類型と具体例

職場におけるパワーハラスメントの状況は多様であり、代表的な言動の類型としては以下の6つの類型があります。(限定列挙ではなく、状況により判断が異なります)

①身体的な攻撃(暴行、傷害)

(該当例)上司が部下に対して、殴打・足蹴りをする。

②精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言)

(該当例)

・上司が部下に対して人格を否定する発言をする。

・他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返す。

・業務の遂行に関する必要以上の長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。

③人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視)

(該当例)

・自身の意に沿わない従業員に対して、仕事をはずし、長期間にわたり別室に隔離したり自宅研修をさせる。

・一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。

④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

(該当例)

・上司が部下に対して、長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命じる。

・新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業務を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する

⑤過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

(該当例)

・上司が管理職である部下を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。

・気に入らない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない。

⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

(該当例)

・思想、信条を理由とし、集団で同僚一人に対して、職場内外で継続的に監視したり、他の従業員に接触しないよう働きかけたり、私物の写真撮影をしたりする。

 

パワーハラスメントに該当しないと考えられる具体例

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

(具体例)

・業務上関係のない同僚間のけんか

・誤ってぶつかる。

・社会的ルールやマナーを欠いた言動、行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない部下に対して上司が強く注意する。

・新入社員を育成するために短期間集中的に個室等で研修等の教育を実施する。

・社員を教育するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる。

・業務の繁忙期に、業務上の必要性から当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること

・労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減する。

・従業員への配慮を目的として、従業員の家族の状況等についてヒアリングを行う。

・労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促す

 

パワーハラスメントかどうか判断が難しい場合の対応

パワーハラスメントに該当するのかどうかは、個別の事案の状況等によって判断が異なることがあります。職場におけるパワーハラスメントは、当該事案による様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者の関係性、当該言動により労働者が受ける身体的又は精神的な苦痛の程度等)を総合的に考慮する必要があります。

このため、一見該当しないと考えられるような言動でも広く相談に応じ、事実関係を確認し適切な対応を行うことが大切です。

事業主の方や人事部・総務部の社員だけでは対応に迷うケースもあります。そのような場合は、労務管理、ハラスメント対策の専門家である私ども社会保険労務士にお任せください。特に、当事務所の社会保険労務士は、広島労働局雇用環境・均等室にて勤務し、広島の様々な事業所様及び労働者の皆様のハラスメントに関する相談にのってまいりました。ハラスメントを未然に防ぐ対策、起こってしまったハラスメントの対応策など、専門家としての目線で、アドバイスさせていただきます。

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