高齢者雇用コンサルティング
■高齢者雇用のニーズ
少子高齢化が進み、企業にとって労働力の確保が課題となってきています。若い人材の確保が難しく、また社員育成に時間をかけられない企業にとって、豊富な労働経験と深い知識、技能を持った中高齢者の力を上手に活用することが労働力不足解決の糸口となります。
法律で定年制の廃止や延長が義務付けられるようになりましたが、受け身の体制ではなく、積極的かつ効率的に高齢者の力を活用し、しっかりと企業に貢献してもらいたいと考える企業も増えています。
■高年齢者雇用のメリット
- 高年齢者の豊富な経験、技術、培ってきた能力を活用できる
若い人材にはない、高齢者ならではの経験や知識をいかして即戦力として働いてもらうことで、企業のさらなる成長が見込めます。 - 従業員のモチベーションアップ
年をとっても働く意思を持ち、意欲的に働く高齢者が職場にいることで、周囲のモチベーションもアップします。 - 若年層、中年層の会社への定着率アップ
活躍している高齢者が職場にいることで、若手・中堅の社員も自身の将来像を描くことができ、会社で働き続けることに前向きになります。
■高年齢者雇用安定法
働く意欲がある誰もが、年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。
65歳までの雇用確保措置として以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
- 65歳までの定年引上げ
- 定年制の廃止
- 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度等)を導入
■高齢者雇用安定法改正について
令和3年4月1日から施行。
65歳までの雇用確保措置に加えて、さらに労働者の70歳までの就業確保が企業の努力義務となりました。
事業主は、次の①~⑤のいずれかの措置を講じるよう努める必要があります。
①70歳までの定年引上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度の導入
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
b. 事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業
■定年延長と定年後再雇用
定年延長は、従来の定年年齢を引き上げることです。社員は定年で正社員のまま働き続けることができます。
一方、定年後再雇用は、いったん定年を迎えた時点で雇用契約を終了し、新たな雇用契約を締結しなおすことです。新たな契約では、職務内容が変わったり、責任の程度が軽くなったりすることにより賃金も減少することが多いです。日本の多くの企業は60歳から65歳までの定年後再雇用制度を導入しています。
<定年延長制度のメリット>
・質の高い労働力を確保
・人材育成に係る時間や費用を抑えられる。
・労働者の仕事に対するモチベーションが高いまま維持される
<定年後再雇用制度のメリット>
・人件費を抑えられる
・若い社員の活躍の場が広がる
■定年後再雇用制度で注意する点
高年齢者雇用安定法は、再雇用時に定年前の労働条件や職務内容を維持することは義務付けていないため、再雇用時に新たな処遇条件を設定し、契約することが可能です。
定年前と比べて給与を下げることが一般的ですが、職務内容や責任の程度が同じなのに給与だけを下げてしまうと高年齢者の納得が得られず仕事のパフォーマンスも低下してしまいます。
また、定年後再雇用時に「有期雇用労働者」となるため、「パートタイム・有期雇用労働法」の対象となりますので、「同一労働同一賃金」の観点からも注意が必要です。「定年後再雇用である」という理由のみで待遇を引き下げることにはリスクがあります。
■当事務所でサポートできること
①高年齢者の能力を最大限に引き出す「定年後再雇用制度」構築サポート
当事務所では、「職務給」を活用した「定年後再雇用制度設計」をいたします。
定年を迎えた高年齢者の中には、自身の能力を最大限にいかして難易度の高い仕事をしたいという人、家族との時間や趣味の時間を確保したいので、今までよりも難易度が低く、負担の少ない仕事をしたいという人など、様々な人がいらっしゃいます。定年後再雇用時は賃金を抑えるため、一律にアルバイトのような簡易な仕事に職務内容を変更することがありますが、こうなると難易度の高い仕事をしたい人にとってはやりがいを感じられないものになってしまいますし、企業としても、専門性のある優秀な人材を活用することができません。
「職務」に基づいた賃金制度「職務給」を導入することにより、難しい職務に従事する社員には高い賃金が、簡単な職務に従事する社員には低い賃金が支払われることになるので、職務に応じたメリハリのある賃金体系を構築することが可能です。
<職務給を活用した定年後再雇用制度のメリット>
・高年齢者の経験・能力・技術を最大限に引き出せる
高年齢者もしっかりと自分の職務を全うし、会社に貢献できる制度です。高年齢者が培ってきた能力を無駄にせず、組織の成長のために活用することができます。
・定年後再雇用者の不公平感を解消し、やる気を高める
「職務給」により、自分の職務や賃金が明確になります。再雇用者間で賃金の差がある場合、それは職務の差であることが明らかなので、再雇用者間で不公平感なくなります。
・若い世代のモチベーションアップ
定年後も活躍できる職場であることをアピールすることで、若手社員の勤続を促します。定年後は「職務給」を導入するということで、自分の専門性を高めようという意識が働きます。
・働き方の多様性が実現
定年後は仕事以外のことにも時間を使いたい、補助的な簡易な仕事をしたいという方には、賃金を抑えてそのような職務で働いてもらうことも可能です。多様な働き方で、企業に活気が生まれます。
<「職務給」を用いた定年後再雇用制度構築の流れ>
経営者様と定年後再雇用者の活用戦略を確認・検討
↓
定年後再雇用者に任せたい職務を分析・分類
↓
職務ごとに「職務記述書」作成
↓
各職務の職務評価シート作成
↓
制度仮導入
↓
検討・見直し
↓
制度導入
②65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)申請サポート
高年齢者の雇用を推進するため、社会保険労務士等に雇用管理制度の整備等を依頼し、以下の制度を導入した場合、国から助成金を受けることができます。当事務所で申請代行いたします。
- (イ)旧定年年齢(注1)を上回る65歳以上への定年引上げ
- (ロ)定年の定めの廃止
- (ハ)旧定年年齢及び継続雇用年齢(注2)を上回る66歳以上の継続雇用制度の導入
- (ニ)他社による継続雇用制度の導入(注3)
(注1)就業規則等で定められた定年年齢のうち、平成28年10月19日以降、最も高い年齢をいいます。
(注2)就業規則等で定められていた定年年齢または希望者全員を対象とした継続雇用年齢のうち、平成28年10月19日以降、最も高い年齢をいいます。
(注3)申請事業主の雇用する者で定年後または継続雇用制度終了後に他の事業主が引き続いて雇用する制度